
移り変わりの著しい時代をすこやかにしなやかに生き抜くために。バランスのとれた真のウェルネスへ誘うべく、マインドフルネスをはじめ、美容、養生、生き方など、今すぐに役立つTIPSを様々なアプローチでご紹介します。
長田杏奈さんの 今すぐできる “凝り固まった美意識”を更新する方法
健やかな美しさを育むために前編で学んだのが、自分の感覚や心地よさを大切にすること。楽しみながらもっと自由な自分へと導くヒントを、美容ライターの長田杏奈さんがアドバイス。
自分の身の回りや生活文化圏で「美」とされている狭い正解にがんじがらめになって苦しむのは、もったいないしつまらない。今やデジタルの発達を追い風に、家にいながらにして多様な美しさにアクセスできる時代です。スマホ越しでいいから、いろいろな美しさ、いろいろな美意識に触れて、美のストライクゾーンを広げる練習をしてほしいですね。きっと、人にも自分も優しい眼差しを向けることができるようになるはず。私が美意識の可動域を広げるために取り入れているTIPSをご紹介します。
TIPS:意識的に違う文化圏、違う時代の美を浴びる
SNSで違う文化圏や美意識の中で暮らす人をフォローするのは、最も気軽にできる凝り固まった美意識に風穴を開ける方法。「こんなに自信たっぷりにセルフィーを撮るんだ」とか「歯並びが悪くてもおしゃれだな」とか、身の回りにない美意識がほどよい刺激となり、視野を広げるきっかけになります。時間に余裕があれば、早朝や深夜に時差のある国に住む人のインスタライブを冒頭の数分だけ色々と見てみたりするのもいいと思います。いろんな人がいるんだなあと知ると、人それぞれでいいんだなと気が楽になります。また、Google Arts & Cultureでさまざまな作品に触れるのもおすすめです。時代や文化によって変容する美を知ることは、一面的な美に囚われないトレーニングになります。
TIPS:心のセルフケア アプリで、自分の感情の癖を知る
日々の心の揺れを記録し、自分の感情や思考の癖を知ることを、セルフケアのひとつとして取り入れてみてほしいんです。最近では「Awarefy」「muute」などのメンタル記録アプリも登場。日記感覚でアプリに記録し、自分の感情の波を“見える化”することで、自分の内面を客観的に分析できるようになり、心身のバイオリズムを把握する道しるべになります。
TIPS:睡眠環境にこだわる
忙しかったりコンディションが悪い時は、少しでも質のいい睡眠でリカバリーできるように寝具まわりを見直します。肌触りのいいシーツや身体に合う枕、見て落ち着く色や柄のカバーなどにこだわったり、いい香りのピロースプレーなどを工夫。スマホはベッドから届かない場所におきます。肌も身体も心も脳も、健やかに保つには睡眠がいちばん効く気がします。
TIPS:季節の花を育てたり飾ったりする
私にとっていちばんの癒しと活力源は植物。植物を通して土に触れたり、季節の移り変わりや生老病死のサイクルを感じること。たくさんの花の中から気分に合う彩りや質感やフォルムや香りをピックアップして、身近に置いて暮らすこと。人間の美には構えてしまう人も、植物の美の多様性や移ろいならすんなり入ってくるんじゃないかな。
TIPS:気に入っている製品の背景について調べてみる
美容はパーソナルな行為ですが、プロダクトを通してソーシャルな課題に目を向けるきっかけにもつながります。最近は化粧品メーカーも公式サイトやSNS等で、SDGsやサステナビリティへの取り組みについて発信していることが多いので、自分が日常的に購入している製品の背景に興味を持って調べてみてほしいですね。あとは、お気に入りのコスメのサステナビリティに不安があるときは、SNSや口コミで詰め替え用を作って、再生可能なパッケージにしてなど、一言添えてみるのも一つの方法ではないかと思います。買い物は投票。自分が美しくなるだけでなく、環境や未来も美しくできたら素敵ですよね。
長田杏奈/美容ライター
雑誌やwebで美容の記事を中心に、インタビューも手がける。著書に『美容は自尊心の筋トレ』(Pヴァイン)、責任編集に『エトセトラVOL.3 私の私による私のための身体』(エトセトラブックス)。Podcastやニュースレターも配信中。
text_ Yuko Homma
Editorial Direction_ Little Lights