移り変わりの著しい時代をすこやかにしなやかに生き抜くために。バランスのとれた真のウェルネスへ誘うべく、マインドフルネスをはじめ、美容、養生、生き方など、今すぐに役立つTIPSを様々なアプローチでご紹介します。
微生物がポジティブ思考をもたらす!田中菜月さんオススメの発酵生活
今、改めて見直されている発酵食品。発酵に魅せられ、その楽しみ方を発信している発酵活動家の田中菜月さんに伺いました。
発酵パワーで
日常にサプライズを
―発酵食品が体にいいことは広く知られていますが、積極的に摂ることで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。
発酵とは酵母、細菌、カビなどの微生物によって物質が変化し、それぞれ特有の新たな産物を生み出す現象のこと。食に限れば、微生物を用いた調理法と言うことができます。食材に特有の旨味を与え、さらに栄養価と保存性を高めてくれることから、日本では醤油や味噌、納豆など古くから親しまれています。 発酵食品に多く含まれる善玉菌には、免疫機能を司る腸内環境を整える作用があるため、便秘が解消したり、風邪などの感染症にかかりづらくなる効果が期待できると言われています。また、発酵には食材の抗酸化作用も強める働きもあるため、老化の原因の一つである体内の活性酸素を除去してくれる効果も。健康・美容の観点からも注目を集めている所以です。
―田中さんご自身はどのような変化がありましたか?
発酵食品を積極的に取り入れるようになってから、肌が乾燥しづらくなり、風邪も長年ひいていません。ヨガ以外の運動は行っていないものも体重も安定しています。体調を整えるツールになっています。 ハードルが高く思われがちですが、取りいれる方法はさまざまで簡単なものもたくさん!最初の一歩としておすすめなのが、私が発酵に魅せられるきっかけとなった「りんご酵母」。作り方はとても簡単で、瓶の中にりんごと一さじの蜂蜜とお水を入れて置いておくだけ。一週間経つ頃には水は酵母液に変わり、炭酸水のようにシュワ~ッとエネルギッシュに。そのまま飲んでも美味しく、女性に多い便秘の悩みには効果てき面です。 また、もう一つのおすすめは奄美の伝統発酵飲料として知られる「ミキ」。サツマイモの酵素を使ってお粥を発酵させたものなのですが、1ccに1億個以上もの乳酸菌を含み、奄美では滋養食、病後の回復食として広く親しまれています。私は心と体をリセットするために定期的にゆるい断食を行っているのですが、その際にも「ミキ」と具のないお味噌汁で最低限の栄養を効率的に補充しています。
発酵生活は
気づきの連続
発酵がもたらす健康・美容面へのサプライズは多々ありますが、私の場合は精神面にも大きな変化がありました。目に見えない生き物が見せてくれる世界に日々キュンとしたりホッとしたりすることで、何気ない日常がグッと味わい深いものに。フツフツと発酵する生きた菌を側に置くことで、自分自身の生命力が高まっていくような感覚を味わっています。 好奇心が先行して一人実験室のようなテンションで始まったので、私自身は失敗したらどうしようなどという思いがなかったのですが、「ぬか床を腐らせてしまうのが心配で始められない」とよく相談を受けます。そんな方にお伝えしたいのは、腐敗は決して悪いことではないということ。実際、腐敗を乗り越えて美味しくなったぬか床もたくさん知っていますし、今目の前に起こっている状態を冷静に観察する目を養えることも、発酵がもたらしてくれるメリットではないかと思います。コントロールできないところを五感で感じ、その先に起こる変化をどっしりとした気持ちで楽しむこと発酵生活の醍醐味。家で過ごす時間が増えた今こそ、ぜひチャレンジしてみてください。
―健康・美容面はもちろん、日常に嬉しいサプライズをもたらしてくれる発酵生活。次回は、今すぐ始められる簡単メソッドをご紹介します。
田中菜月/発酵活動家
女優・モデルとして活動しながら、発酵マイスターの資格を取得。2016年に初の個展「田中菜月発酵展『醸し、醸され~春うらら♡』」を開催、同年よりワークショップ「N's HaCcOoo Lab」をスタート。飲食店の発酵メニュー・商品開発なども行う。著書に『ゆるくてしあわせな発酵生活』(三笠書房)。
@natsuki_hakko
http://beautyflow.sunnyday.jp
text_ Yuko Homma
Editorial Direction_ Little Lights