
移り変わりの著しい時代をすこやかにしなやかに生き抜くために。バランスのとれた真のウェルネスへ誘うべく、マインドフルネスをはじめ、美容、養生、生き方など、今すぐに役立つTIPSを様々なアプローチでご紹介します。
漢方家・杉本格朗さんに聞く、日常のパフォーマンスを上げる漢方との付き合い方
鎌倉市大船に1950年に創業した杉本薬局。3代目の杉本格朗さんが日常的に実践しているという、漢方タイムをご紹介。自分の今の状態を見つめながら上手に漢方を取り入れることで、日常のパフォーマンスを高めることができるんです。
ご自身も毎日漢方を服用することで体調を整え、パフォーマンスを身体はもちろん、誰もが感じるようなちょっとした心の悩みにも着目し、現代人のライフスタイルに合った漢方薬や養生法を発信しています。 杉本さんに心の不調と漢方の関係や、現在の活動についてお話を伺いました。
TIP:起きたら漢方で今日一日を乗り切るための英気を補充
朝食をとる習慣がないため、起きたらまず最初に体に取り入れるのが「補中益気湯」か「十全大補湯」を煎じたものです。一般的には滋養強壮効果があり、「補」という漢字が入っているように、気や血を補う漢方薬です。気や血が不足しがちな僕にはぴったりで、頭と体をスッキリと目覚めさせてくれるんです。スイッチを入れるかのごとく、午前中のパフォーマンスを高めることができるので、
TIP:食後には胃腸の負担を軽減する漢方を
胃腸薬、整腸薬というと食べ過ぎたときに服用する方が多いかと思いますが、僕は毎食後の習慣にしています。胃の消化を手伝い、胃腸の負担を軽減する作用のある「熊胆(熊の胆汁)」や「黄連」、「黄柏」といった生薬が配合された漢方を服用することで、胃もたれを防ぎ、消化にエネルギーをとられて急な眠気におそわれることなく、午後を過ごすことができます。とくに、食後に眠くなりやすい方は、お腹の気(エネルギー)が不足している可能性があるので、先ほどの「補中益気湯」や「六君子湯」、「平胃散」など、お腹の気を補ったり、お腹の調子を整える漢方薬を普段から服用すると良いと思います。
TIP:集中力が途切れたら漢方を煎じてお茶タイム
朝から仕事に追われて夕方頃に集中力が途切れるのを感じたら、それは頭が疲れているサイン。僕の場合は、ご相談が続くと頭の整理がしにくくなり、少し頭が熱くなる感じがしてきます。そんな時は、気分転換のティータイムがごとく「抑肝散」、「加味逍遥散」、「黄連解毒湯」、「羚羊角」などを飲むようにしています。頭だけでなく、体も疲れているようだったら「牛黄」や「朝鮮人参」も追加。生活に漢方を取り入れることで、自分の今の状態を把握する観察力が養われ、不調を未然に防ぐこともできるようになると思います。
TIP:就寝前の漢方で疲れは翌日に持ち越さないように
一日を締めくくる眠る前には、今日の自分を振り返り、翌朝に疲れを残さないように「牛黄」や「朝鮮人参」、「鹿茸(鹿の幼角)」、「牡蠣肉エキス」、そして眠りの質を高める「抑肝散」、「酸棗仁湯」、「加味帰脾湯」などをその日の疲れ具合に応じて飲みます。以前眠る前に「朝鮮人参」を服用した際、一回瞬きをしたと思ったらもう朝だったというくらいぐっすりと深く眠れた経験があり、漢方の底知れぬ力を実感したことも。今になって考えると、朝鮮人参だけでぐっすりと眠れたということは、疲れすぎて眠れてなかったとか、自律神経が少し弱っていたのかなと。みなさまには他の生薬も混ざっている漢方処方の方がおすすめです。
TIP:お酒は肝臓をしっかり保護して適度に楽しむ
お酒は大好きでよく嗜みますが、肝臓を保護し、二日酔いを防止するために「牛黄」、「田七人参」などと漢方の胃腸薬を合わせて飲むようにしています。それでも飲み過ぎてしまった時は、眠る前にもう一度プラス。飲み忘れて二日酔いになってしまった場合でも、回復を早めてくれるので安心です。お酒好きな友人への引きが強く、これが漢方のエントリーになる場合が多いです(笑)
TIP:何でも話せるカウンセラーを一人持つ
漢方ではないのですが、長年にわたりメンタルトレーナーをつけて、同じ方にプライベートから仕事の悩みまであらゆることを相談しています。一人で抱えていた感情を言語化する過程で気づくことも多く、自分の思考の癖を知ることができました。自分のカウンセラーを持つことは、自分自身を知り、自分らしい人生を切りひらくために有効なものだと実感しています。そのほかにも、整体、鍼灸、マッサージのお世話になることもあり、常に「健体康心」、健やかな身体と、やすらかな精神をキープできるよう心がけています。
杉本格朗(杉本薬局)/漢方家
鎌倉市大船で1950年の創業以来、一人ひとりの体質に合った漢方薬や自然薬を提案している杉本薬局の3代目。大学では染色や現代美術を学び、2008年に実家の杉本薬局に入社。2021年には表参道GYRE4Fのeatrip soil内に出張相談所「杉本漢方堂 Soil」を設立。漢方の伝統と奥深さに触れ、店頭での漢方相談を主軸に、生薬の薬効、色、香りを研究し、漢方の視点から暮らしを豊かにする活動をライフワークとしている。
漢方監修:G20大阪サミット「配偶者プログラム」,温泉宿「SOKI ATAMI」 ほか
著書:『こころ漢方』(山と渓谷社)
杉本薬局
住所:神奈川県鎌倉市大船1-25-37
TEL:0467-46-2454
営業時間:10:00~18:30
定休日:木曜・日曜・祝日・年末年始
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Text_ Yuko Homma
Editorial Direction_ Little Lights