
移り変わりの著しい時代をすこやかにしなやかに生き抜くために。バランスのとれた真のウェルネスへ誘うべく、マインドフルネスをはじめ、美容、養生、生き方など、今すぐに役立つTIPSを様々なアプローチでご紹介します。
パーマカルチャーデザイナー・四井真治さんに聞く 持続可能な暮らしの実践法
パーマカルチャーとは持続可能な農業をもとに持続可能な文化を築いていくためのデザイン手法であり、有効な社会問題の解決策。日本におけるパーマカルチャーデザイナーの第一人者である四井真治さんに、都市生活者が取り入れられる、パーマカルチャー的な暮らしのアイデアを教えてもらいました。
これまでの15年間、長男の木水土が産まれてからすぐに山梨県北杜市へ引っ越してきてから家族という社会の持続可能の最小単位だけでどこまで持続可能な暮らし、「小さな地球」を実現できるのかを実際に生活実験してきました。同じような意識を持つ家庭が増えれば、小さな地球がたくさんできていき、線として結びついて人間的なコミュニティも自然と発生するもの。それが面となって、全体が地球の仕組み、豊かさの仕組みに変わっていくことを願って発信しているつもりです。田舎暮らしでなくとも実践できる、自分たちの在り方、暮らし方、社会の姿に向きあうきっかけとなるパーマカルチャー的な暮らしのアイデアをご紹介します。自分という人間が存在することでその場がさらに豊かになるような暮らしとはどういうものなのか、一人ひとりが考えるきっかけにしてくれたら嬉しいです。
TIP:堆肥を作ってみる
最近では都会でもコンポストを活用する方が増えているのを感じます。良い堆肥を作るためには、落ち葉や草といった繊維分の炭素と、生ゴミ、魚、肉、排泄物などといったミネラルの窒素のバランスが大事なので、臭いが気になったら、炭素を含む乾いた素材を多めに入れて水分調整をして窒素分の余らない良い状態へとコントロールしましょう。微生物が活発に働くためには堆肥をまんべんなくかき混ぜて空気を入れ分解ムラをなくすことも大切です。私もサラリーマンで東京都の新橋で生活していた頃、狭いベランダでミミズコンポストを作り、活用していました。市販のコンポストよりハードルが高く思われるかもしれませんが、ミミズは生ゴミを微生物と共に分解するだけでなく堆肥を混ぜてくれるし腸内細菌は臭いを抑えるため、生ゴミなどを処理するのに適しているのでおすすめです。
TIP:援農に参加する
コンポストでできた堆肥で家庭菜園にも挑戦してみたいけれど、時間や場所がないとお悩みの方におすすめしたいのが、出来た堆肥を農家さんに引き取ってもらって農作業もお手伝いするという援農という選択肢です。最近では農家さんが独自の会員を持ち、実際にコミュニケーションをとりながら農家さんに寄り添って栽培を見届け、生産のこだわりを聞きながら安心安全な野菜を受け取ることができる循環型のビジネスモデルも生まれています。都市は消費、生産は地方と二極化しつつある現在、生産者と意識的につながりを持つことは環境や社会問題に当事者意識を持てるきっかけ作りにもなると思います。
TIP:DIY精神を大切に手を動かす習慣を身につける
バイオジオフィルターやコンポストなど、必要なものは自分の頭で考えて作り、壊れたものも自分の手で直すようにしています。子どもたちにも小さい頃から一緒に農作業をしていましたが、手を動かしていると自分の得意なことが生まれてくるものですし、結果的に人の真似でなく自分で考えて問題解決できるようになっていくと思います。今はたくさんの情報が溢れていますが、大人も日常生活の中でなるべく自分で手を動かす習慣を身につけ、それに足りないことを補完する際に本やインターネットを用いるのが良いのではないかと思います。
四井真治
1971年福岡県生まれ、信州大学農学部森林学科卒業後、緑化会社と有機肥料会社の勤務を経て独立、ソイルデザインを設立。2007年に山梨県北杜市に移住。生ゴミや排泄物を堆肥に利用、生活排水を庭のビオトープに活用するなど、無駄のない自給性の高い暮らしを実践しながら、全国各地でデザイン業務や講師活動を続ける。パーマカルチャーセンタージャパン講師。
Instagram @yotsuishinji_permaculture
http://soildesign.jp/
Text_ Yuko Homma
Editorial Direction_ Little Lights