
ディレクター安部真理子が紐解く、デザインと着こなしのヴィジョナリー。地球環境や生産者への想い、ファッションへの情熱。心が踊り、触れる肌が喜ぶような装いへの願いとこだわりを、じっくりと綴ります。
大地に捧げて心をつなぐ。Kaho Iwayaプリントが持つ不思議な力
広大な砂漠地帯に突然現れるオアシス。ベージュの砂丘に囲まれた湖の周辺には木々が茂り、漆喰の町並みを乾いた風が吹き抜ける。タトゥーシールアーティストとして活躍するopennerのKaho Iwayaさんとコラボレーションしたシーズナルプリントについてご紹介します。
“安部さんのもつイメージを、私の中でも落とし込みながら、テラコッタや、漆喰の壁、海風。想像を拡げながら制作しました。使った画材は、絵の具、パステル、色鉛筆など、頭に浮かぶイメージに近いものを、いろいろに試しながら描いています。照る太陽のもと、風が吹いているのを感じてもらえますように”(openner / Kaho Iwaya)
こちらは、クリエイター・シーズナルプリントのページでも紹介しているKahoさんからのコメントです。今回、テーマに設定したペルーにあるオアシスのイメージをもとにさまざまなキーワードを抽象的に捉え、独特のラインワークと色彩で表現してくれました。タトゥープリントを通して、心にのしかかった「誰かが決めたこうあるべき」から人々を開放し、自分らしい選択や生き方ができることを応援しているKahoさん。知り合ってからかれこれ3年以上になるのですが、“タトゥー”という強いイメージに対して、優しくて真っ直ぐな本質が所作から垣間見られる素敵な女性。彼女のインスピレーションを通した繊細なアートワークは、例えるなら太陽の光や虹や風のよう。馴染み深い存在なのにとらえどころがなく、見るものの心情によって受け取り方やメッセージが変わっていく。憧れや希望のように確実に存在しているのにふとしたことで消えてしまう、そんなとりとめのない不思議なパワーを秘めています。

彼女自身の腕には、家族の誕生日を足した数である8cmの地平線のタトゥーが入っているそうです。
“ただの一本線に見えるけれど、これは私にとって“地平線”です。
どうしようもなく辛い日、 どうしてもひとりで立ち上がらないといけない日、
この印があると微々たる差でも心が少し元気づけられます。“
(kahoさんが執筆されているウェブサイト『she is』より引用)
Kahoさんのドローイングは、それを必要とする人だけにわかる特別なサインを送ってくれる。自信をなくした時に身につけると勇気が湧いてくるような、不思議な力をもっている。 EQUALAND TRUST AND INTIMATEのコラボレーションアイテムも、誰かにとってそんな存在でありたいと願っています。

水を守ることは、自分たちの未来をまもること
現在、EQUALANDで採用しているドネーションプログラムは、どの商品でも寄付の対象になっています。購入いただき、寄付先をご自身で選択いただきます。寄付先を海洋保護に特化し、ドネーション名を”Water is to Us”に決めたのは、すべての生き物にとって「水」は命の根源であり、大切にしていかなければならないから。地球では、海が雨を作り大地を潤して生物が育まれています。人間の体内の70%が水分であることを思えば、人間が海洋を汚し、汚染された水を自らの体内に注いでいるという矛盾を、今すぐ止めることが急務です。一人ひとりが小さくてもできることを行い、行動を広めていく。欲しい未来を高らかに訴えて、その声で世の中をいっぱいにすれば大きな岩を動かすことも必ずできると信じています。そんな熱い想いでKahoさんとともに考えた“Water is to Us”は、“Water is to fish what land is to humans(水は魚にとって、人間にとっての陸のようなもの)”という古い諺から名付けたものです。


軽やかにサステナブルを気持ちよく、おしゃれに
今回、Kahoさんのアートワークは写真の2パターン。アイテムは、風にひらりと舞うボリューミィなマキシスカートやゆったりとしたマーメイドシルエットのサマードレス。エレガントな印象でガウンのように楽しむこともできるカシュクールドレス、そしてボトムを選ばず軽快に上品なスタイルを約束するビスチェなど幅広く展開します。ビスチェは写真のようにカシュクールと重ねても素敵です。都市から自然まで、場所を問わずに楽しんでいただけるアイテムばかりです。
着ると喜びと勇気が湧いてくる、そんなあなただけの一着になれることを願っています。


安部真理子
EQUALAND TRUST AND INTIMATE クリエイティブ・ディレクター