ディレクター安部真理子が紐解く、デザインと着こなしのヴィジョナリー。地球環境や生産者への想い、ファッションへの情熱。心が踊り、触れる肌が喜ぶような装いへの願いとこだわりを、じっくりと綴ります。
頭皮トラブルに負けない。ヘアスタイリストShucoさんとヘアアクセサリができるまで
ヘアアクセサリーブランド、トレスを運営するShucoさんは、ファッション撮影の現場で活躍するヘアスタイリスト。今回、EQUALAND TRUST & INTIMATEの生地を使って、ヘアアクセサリーをコラボレーションしました。Shucoさんの作るアクセサリーにはかわいいだけではない、トラブルを抱える人に寄り添う気持ちが詰まっています。自分に自信を持ち、おしゃれや生活を楽しんでほしい、そんな願いのこもったコラボレーションに向けてお話を伺いました。
ー髪や美容に興味を持った原体験をお聞かせ頂けますか?
幼少期から髪の毛が抜ける病気を持ってまして、自分にコンプレックスがあったことがまず第一に繋がっているのかなと思います。映画をきっかけに名前や職業、写真など、何かが違うだけで人の印象がすごく変わるということに興味を持ちました。その後写真家、シンディー・シャーマンのセルフポートレート作品集など、様々なアーティストの作品を見るうちに、好きだったファッションに通じることの中からヘアメイクの仕事をしたいと思ったのが中学校ぐらいの時です。
ー 一般の人々に向き合う活動に移行していった経緯はどのような形でしたか?
技術士免許を取得した後、すぐにパリに行ってショー・雑誌・広告・CM・VIPなどひと通り携わりました。その後、ロンドンの事務所への移籍の話をいただいたとき、ビザの関係で日本で活動することがあって、それが結構楽しかったんです。それまでのハイファッションと違って、一般の方に寄り添っている企画や提案がとても新鮮でした。フランスでできないことが逆に日本ではできるのかもって思ったのと、当時始めていたドネーションの活動も活かせるんじゃないかとかなという風に感じて。将来的に日本で知名度をあげればもっと幅広く繋げられるんじゃないかと思ったんです。
ー毛髪診断士の資格をとることに至ったのは?
ヘアメイクの仕事は、髪の毛そのものの美しさよりもテーマに沿ったスタイルを表現すること。自分がトラブルを抱えたまま仕事をしている中で、同じような悩みを相談されたときに、聞いて来る人たちのストレスや気持ちがすごくよく分かるな、と気づいたんです。医師ではないですが、私には知識や体験の蓄積があるので、美容師的な立場だったらアドバイスをすることができるなと。改めてそういう意味で信頼してもらいたいと思ったんです。
ーヘアアクセサリーブランド、TRESSEのコンセプトとこだわりをお教え頂けますか?
フランスの女性たちのようなさらっとまとめただけとか、ラフなヘアスタイルが好きで、シンプルで可愛すぎず便利で簡単におしゃれを楽しんでもらえたらと思って作っています。コロナ禍で、オンライン会議ではパッとつけるだけで隠せたりすることから、反響をいただきました。また、寝ている間にシルクがつるつるの髪に仕上げてくれるなどの感想も届いています。
以前ナイトキャップを作った時もご病気の方やプレゼントにもたくさん使って頂いたのも嬉しかった。自分が身につけるものにネガティブな言葉で検索をしていかないといけないようなトラブルを抱える方々に、病気への実体験がありながら、ファッションの現場に身を置く私がアイテムを提案することで、勇気づけられたりとか楽しんでもらえるように私も貢献できたら良いなと思っています。
ー今回、Equalandの在庫を使って、アイテムを作っていただきました。こだわった部分を教えて頂けますか?
従来私が持っているコレクションの中で同じような素材のものは全然なかったんですね。やはり生地感が全く違うのでそれに合わせてパターンを変えさせてもらったり生地の特徴を生かしてデザインを調整したりました。
こちらは、昔の映画でよく見るようなスカーフを結んでいるだけのスタイリングがインスピレーションです。菱形のスカーフは頭に巻いたり、カバンにつけたりしても良いですし、スカーフをシュシュの上から巻くとシュシュが隠れてシンプルにつけられます。また、スカーフだけで巻くと落としてしまいがちですが、シュシュと繋げて結んでおいたら落ちないし、解けても結び直せばいい。顔まわりにスカーフがあると華やかだし印象が変わるんですよね。
アイテム的にナチュラルな感じになりすぎることがあるので、刺繍を周りにすることでちょっと締まる感じに作っています。
こちらは、一番ベーシックなかたちのターバンです。一番使いやすいんじゃないかな。
ミニシュシュは、オリジナルで色んな色があるんですけどこれが一番売れてる商品です。大きいシュシュをつけるのに抵抗がある大人の方でもつけてもらいやすいようになっているし、髪につけても普通のゴムみたいな感じで使えるけど、ちょっとかわいいですよね。
ーEqualandのブランドの魅力についてはどう思われますか?
自分のブランドもなるべくサステナブルな取り組みをしたいなと思い、リサイクルテキスタイルや天然素材のものを使うようにしていています。その中でEqualandさんは最初からそういうことに積極的に取り組まれていて、自分たちの先にずっと歩んでらっしゃるので、そういう意味で勉強させてもらえたらなというのもありました。
ーご自身の活動を通して伝えたいことは何ですか?
あんまりないんですが、自分が髪の毛に関する病気を持ってるっていうことは巡り巡って還ってきてるのかなと思っていて。この仕事をしてたら、自分の経験やネガティヴなポイントをプラスに還元できるので、今の仕事をしている意味があるなと感じています。髪の毛の悩みは女性も男性もみなさん年齢を重ねるとあるもの。おしゃれや美容って人に自信を与えたり人を変える力があるって信じていて。自分自身も良くなると気持ちが全て変わるので、何かそういうようなところに繋がるような助けになれれば良いなと思っています。
ー最後に、シュシュを使ったヘアから始まる着こなしのテクニックを教えて下さい。
ほっこり系の服を着ないで、何かテクスチャーの違うものが入ってると良いのかなと思います。マットな素材なので肌感にツヤを出したり、髪にオイルをつけてツヤを出すのもおすすめです。また、金属のアクセサリーが入るとピリッとしますよ。それぞれのスタイルで楽しんでほしいですね。
Shuco/hair stylist・毛髪診断士
東京のヘアサロンを経てパリに渡り、各国のモード誌やコレクションで活躍。 帰国後もさまざまなファッション誌や広告など、幅広く活躍中。
女優やモデルからのラブコールが絶えず、最新の美容トレンドにも詳しい情報通。 ヘアドネーションなど社会貢献活動にも精力的に取り組むほか、2020年より自身のヘアアクセサリーブランド”TRESSE”をスタート。
Instagram @shucohair
EQUALAND - TRUST AND INTIMATE - × shuco リメイクアイテムポップアップ
期間:4月1日〜4月10日予定
場所:EQUALAND SHIBUYA
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6丁目20-10RAYARD MIYASHITA PARK South 3F
※4月1日より公式オンラインサイトにて販売開始予定
Editorial Direction_ Little Lights